ある英語教師の手帳

困った新米英語教師が一人前になるまでの10年の記録

職員室での立ち回り方――何かあったら一言入れる。

今回のテーマは「何かあったら一言入れる」である。

 

なぜ、「一言」の断りが大事なのかというと、

それは、「人間が大事にされている」という気持ちをくすぐるからだ。

それだけに、「一言」がないと、「言ってくれれば良いのに」と相手のことを良く思わなくなり、いらいらしてしまう。

人間は、無視されることを何より嫌うのだ。

実例1

クラスの中でも発言力のある勝ち気な女子が休んでいるときに、勝手に席替えをしてしまった。それは急に決まったことで、LHRのネタが無くて苦し紛れにおこなった席がえだった。彼女はくじ引きで、よりによって一番前の席になってしまった。隣は気の弱い女子のクラスメイトとなった。

翌日、学校へ登校した彼女は、席が替わっていることに驚いた。

担任は、そのことについて電話も入れなかったのだ。

彼女は担任への信頼を一気に失った。心や言動も荒れて、授業態度などもひどくなってしまった。

 

実例2

今度は教師の場合で見てみよう。今年からあなたは英語科主任になり、校内で新しい事業を始めることになった。ディベート大会、弁論大会――何でもあり得ることだ。

仮に英語ディベート大会としよう。

そこで、英語科のあなたは他教科の先生方にも、(全員にはなかなか無理かも知れないが、)おりにふれ新しくディベート大会に出場するんですよ、と雑談がてら、話をしておくことにした。数学科、社会科、理科などだ。少なくとも主戦力となる2年生の受け持ちの先生方には、話を通しておいた。

すると、いいことがあった。

ディベートのお題が、「移民制度の是非」を問うものだったのだ。完全に専門外のあなたは、社会科の先生に、特別に出前講義をお願いした。事前に話を通しておいたので、快諾して貰えた。

さらに、練習を重ねていく中で、ディベートの論理構成力にも問題が生じた。その際には、数学科の先生に論理を教えて頂くことで、お世話になることが出来た。事前に一言言っておいたからである。

 

チームで事を行う際の、スムーズな人間関係のために

「は?無視かよ」という気持ちにさせてしまうと、協力が得られないどころか、恨みを買うこともある。

余計かな?と迷ったときは、話をしておくに越したことはない。

誰もが主人公になりたいし、頼りにされたいのだ。輪があれば、中に入れて貰いたいと思うのは人情。そこを上手く利用してやれば、世渡りがもっともっとうまくなる。