ある英語教師の手帳

困った新米英語教師が一人前になるまでの10年の記録

デキル英語教師の最低条件10~その5~

デキル英語教師の最低条件

全10回の連載、5つ目の条件は、

⑤ 生徒が間違いやすいのはどこかを知っていて、それをしっかりと押さえた上で授業ができる。

ツボを押さえているということである。

これをしているのとしていないのとでは、授業の質が変わる。

これは、経験がものをいう。一回一回の授業を流さずに全力で取り組んでいくことだ。そうすれば、だんだんと覚えてくる。3年くらいはかかるはずだ。そうやって多くの生徒を教えれば、「その年代の生徒によくあるマチガイパターン」が、自分のなかに(目に見えなくても)蓄積されてくるものなのだ。若手の先生方、焦っちゃだめですよ!

たとえばよくある読み間違いとしては

 

finalを「フィナル」

patientを「パティエント」

throughoutと見るともう「読みすらしない」

 

こんなミスが、偏差値60の、「学びの速度のわりと速い系高校」で起きるのだから世話はない。(けれども地頭のいい生徒は、学びに対して前のめりなので、教えれば割とすぐに飲み込んでくれる。念のため)

 

初めて教えるクラスでも、発問への反応や机間指導の取り組み状況、課題の取り組み状況など、とにかく観察する手間を怠らないことが、生徒を理解するためには大切だ。

でも、新米教師であれば経験がないんだもの、そんなはったり利かせられるかってそりゃ無理な話だ。心配しなくていい。誰でも最初はそう。あそこで偉そうな顔してる校長教頭、ムカつく先輩だってオドオドしてた時期は確実にあった。

魔法の言葉を伝授しよう。

 

その① 「ここはね、みんな間違うんだよ」

その② 「高校でやる基礎の文法を全マスターすれば、日常英語で使われる全文法の95%は網羅できる!残りの5%は特殊な修辞法や文学的表現だけだ」

その③ 「最初はみんな全然できなくてね…(かつての教え子たちを見るような、なるべく遠い目をするのがポイントである)でもみんな、真面目にこれに取り組んで化けていったんだよ…(頑張らせたいドリルか単語帳か何かを指さしながら)」 ※新任でも若手でも経験なしでもオタクでもロリコンでも関係なく、生徒は教壇に立った瞬間に我々を「先生」として見ます。彼らに「俺はプロやぞ」と信じ込ませるためには、嘘も方便です。

 

そして、すべての最後に心の中でこう言いましょう。

「ゴチャゴチャ言わずに俺について来い

 

わかってなくても、「俺は分かってるぞ」

自信がなくても「俺はプロやぞ」

そういう「はったり」が、あなたの放つ「教師としてのオーラ」を強め、重みのある指導にもつながっていく。そういう部分、少なからずあると思いますよ。

心にいつも、「林修先生」を飼っておくといいのかもしれない。自信満々の語り口でいくのだ。マツコも林先生もIKKOも、飼い始めて長い。

ちなみに最近飼い始めたのは、都市伝説の「関先生」ですね。だからついつい「~だよね!」という語尾になりがちだし、「信じるか信じないかはアナタ次第!」って生徒の顔見て言いたくなっちゃう。いやいや。ちゃんと教科書に載ってることを教えてますから!!(笑)

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デキル英語教師の最低条件10~その4~

デキル英語教師の最低条件

全10回の連載、4つ目の条件は、

④ 各種言語活動で、自分が生徒の「お手本」や「話し相手」になれる。

あるALTとの経験を話したい。

何年か前のことである。新しく本校にALTとして赴任した彼(仮にS氏とする)のことだ。

彼のスペックをここで簡単にご紹介しよう。

 

☆ アメリ東海岸出身のぽっちゃりした30代。白人

☆ 文学部卒

☆ 趣味は文房具収集と読書

☆ 温和な性格で大きな声を出さない。ぽっちゃりしている(二度目)

☆ ALTとしては未経験。前職は大学講師(アメリカ文学科)。

 

さて、彼の授業の様子はどんなだと思うだろうか。

うちの学校ではALTとのteam teachingでは基本的に指導案はすべてALTがつくるのである。未経験でも何でもどんどん作って貰う。(一応、県主催のALT研修はちょこっとだけ存在する)前に勤務していたALTともFacebookなどで交流をもっている。そのため、彼は授業に困ったら連絡を取れる、教えて貰える環境はひととおり整っているとご理解いただきたい。

S氏がALTとなって一年が経った。そこで私は初めて彼とteam teachingを受け持った。それまで高3生を教えていたので、接点がなかったのである。あらかじめ見せて貰ったプリントは、生徒の実態に応じためちゃくちゃ簡単なものである。これでずっこけないはずがない。指導案の確認のなかで話題に出たのだが、彼の指導方針で、プリントには単語のtaskを多めに入れてあるとのことだった。いいよ、いいよ。それを使って会話や表現に持って行ければ最高だよね!

授業初日、さぞかしアクティブな会話の授業が展開されるんだろうと思ったのだが…

 

 

写経。

 

 

ん?と思った。プリントのタスクに単語が多めになっているのは良い。全然いい。そのプリントというのが↓

 

いぬ ・    ・cat

ねこ ・    ・panda

パンダ・    ・dog

 

みたいなプリントなのだが、それを黙々とやって、終わりなのである。ホント。ホントに終わり。それを使って会話をしてみよう、とか一切無し。

 

゜゜(Д)

 

一応、申し訳程度に音読はやるのだ。でもそれも、すげ~~~~~小さい声で、

 

S氏「please repeat.....dog」

生徒「シーン……(え、待って……読むの?読んで良い空気?これ)」

 

みたいな感じなのである。

 

……おいいい!!!!

 

そうじゃないのよ!ALTの大事な役割のひとつは、「英語を喋るよい相手」になること!!アンタっそれじゃ……ただの単語生成botと化してるじゃないの~~~~~~~~!!!そんなことじゃ、AIが発展した未来、いの一番に駆逐されちゃうわよ!!!!

 

その後、彼との授業で私がやたらでしゃばる機会が激増したことは、いうまでもない……。

 

あとで聞いた話では、

S氏「活動、どのぐらい難しくしたらいいのか分からなくてさ……生徒の名前も知らないし。とりあえず単語いっとけば、彼らの英語能力を読み違えることはないかなって思ったんだよね、haha」

 

いやいやいやいや、そこをヒヨっちゃダメなんだって!!

 

 

「最低条件10」のなかの2番目でも論じているとおり、生徒の力量を正確に知っていることは良い授業の必須条件!!

もうね、教えました。しっかりと、生徒との壁を取っ払って、ぐいぐい行かないと生徒の力、わからないよ!って。

でもそれは、生徒のことをALTにしっかりと教えておかなかった我々日本人教師にとっての落ち度でもあるんだよな~。反省しなきゃな。

そんなことをしんみりと痛感したのでありました。

 

その後は授業を改善して、2時間続きの面白いprojectを打ったりとか、team teaching、活性化に向かいつつあります。これからも日々精進だな~!!

 

 

 

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デキル英語教師の最低条件10~その3~

デキル英語教師の最低条件

全10回の連載、3つ目の条件は、

③ 自分ばかり話しすぎないで、生徒の方がたくさん話せるように持って行ける。

これは教師という我々の職業病というか、陥りがちな罠なのである。

そもそも、読者の皆さん、自分自身に問いかけてみて貰いたい。

 

「俺は何で教師になったのだろうか」

 

どうですか?

必ずあるんじゃないですか?「教えたい」っていう気持ち。

それがアナタ、時として裏目に出るのである。

例えば「関係副詞を教えたい」とする。これは基本の関係代名詞や前置詞+関係代名詞を理解する上でどうしても押さえておかなければならない概念なので、英語教師ならば皆、気合いが入りがちな部分である。シミュレーションしてみよう。

 

「それじゃあ今日は関係副詞を勉強する。関係副詞って何かっていうとな、例文、まずは例文見ろ。June is the month when we have a lot of rain. な!これ。これは前回やった関係代名詞とは圧倒的に違う。いいか?そもそもこれは本来ふたつの文だったものがくっついた形なんだ。それがどういうかたちかというと(大ぶりなストロークで黒板消しを横に動かし板書を滅する)June is the month. はいこれ、June is the month.な!これにWe have a lot of rain then.これが!くっついた!形!な!で、これはな、June is the month which we have a lot of rain in.これと、おなじ意味になるすなわち!in which=when、ああ……これは、まあ、whereの場合もあるけども、でもな、これを押さえておくことが大事で、本質的な理解のためには、な」

 

大事故だ。さあ、これをどう改善していったらいいか。考えるヒントは、

教師ばっかり喋らずに、生徒に喋らせること。

これに尽きるのだ。

※もし良い案があったらコメント欄に書いておいてほしい。

 

また、これはOral Introductionの場面でもよく見られる事故である。

「とにかく英語で喋らなきゃ!!!!」と、はやる気持ちが先行して(または英語で生徒の前で喋ることにまだ十分慣れていなくて)ぺらぺら英語を喋ってしまった結果、気づいたらオーディエンスが全員沈没していた。とか、よくある。

怖いんだがよくあるんだ、これが。

だから常に、オーディエンスのほうへベクトルを向けてあげる。教師はモデルになって、そしたらもうあとは、質問攻めだ。質問botになったつもりで、教室の端からローラー作戦で奴らを当てて喋らせるのだ。時間の許す限り全員。(だから授業で時間がちょっとだけ余った、みたいなときにやるとよい)

授業の主役は誰か?って考えたらそりゃ奴らなんだから、生徒に喋らせること、これこそが重要事項なのだ。そうすれば奴らは英語でやりとりすることにだんだん慣れてくる。否が応でも慣れてしまう。そうなればしめたもんである。

 

 

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デキル英語教師の最低条件10~その2~

デキル英語教師の最低条件

全10回の連載、二つ目の条件は、

② 生徒の既習の語彙・文法、および未習の語彙・文法を正確にわきまえて話せる。

読み物を扱う際の導入部分、Oral Introductionなどの際のことだ。

これ、意外と把握出来ていなかったりするんですよね。

こいつら何が分かってて何が分かってないんだろう、って。

それは仕方なかったりするんです。彼らの頭の中をほじくって見るわけにはいかない。

 

要するにダメなのは、彼らに聴かせる英語が

「簡単すぎる」こと & 「難しすぎる」こと。

何でダメかっていえば、奴らが一斉にやる気を失うからだ。

 

わし「Helloooo! How, are, you? わかるかな~? How, are, ...」

奴ら「プ~なにこれ簡単すぎ~、飽きるわ」

 

そしてもし英語が難しければもうわざわざ書くまでもあるまい。奴ら、心のシャッターをガラガラと下ろしたあと、無言で机に突っ伏すのだ。スイッチOFF。

かつて生徒を女心と同じに例えた先輩が居た。

あいつらマジで分からん生き物だ。

 

経験上、事故ることが少ないのは、

簡単な語彙でゆっくりと話し始めて、だんだんスピードを上げていくことだ。

それで奴らを慣らして、

少し経って教科書が進んできたら、習った語彙をひとつふたつ混ぜ込んでいく。

 

人間が最も燃えて取り組むのは、自分ができるのより少し難しい程度の課題だ」という研究結果もあるくらいだ(この「少し」のさじ加減は本当に難しい。読み間違えても落ち込まないで!きっと生徒は、先生の熱意を分かってくれる)。

「この先生は信頼してよさそうだ」と生徒が思ってくれているのであれば、最終的には多少難しくても、食らいついてくるようになる。それまで、最初は「怖くないよ、私が君たちを伸ばすよ。良いから黙ってついて来やがれ」という気持ちで接していけばいい。

 

 

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デキル英語教師の最低条件10~その1~

デキル英語教師の最低条件

これから10回に分けて、連載していく。

まずは最低条件。

①Class Room Englishを完全に使える。

これは、正しい表現を何度も使って、生徒の頭に刷り込んでいくということ。

何度も同じような場面を経験すると、やがて、授業の流れが出来てくる。

授業の場面場面で、流れるように口から出てくるようになろう!

最初のうちは出来なくて当たり前。

私がよく使うのは、

「Repeat after me.」「Please look at the board.」などの定番モノに加え、

 

「Do you follow me?」「ついてきてる?」

 

これは結構、出番が多い。

常に生徒の板書スピードは気にしている。

私の話に耳を傾ける余裕が果たして今の子達にあるかどうか。

書いている子が多ければ、一旦説明や指示をやめて、彼らがペンを置くまで待つ。

 

「Hey, you guys following me? -Okay, I will stop, so please finish up writing first.」

(ねえ君たちついてこれてる? OK、じゃあ一旦止めるから、書き終わっちゃおう)

 

こういうのを英語でサラッと言ってあげる。生徒はちらっと顔を上げて、頷いて、また書き始める。

いや、ていうか、これがだから、英語のコミュニケーションなんだよ。

本当は、お仕着せの「クラスルームイングリッシュ」なんかじゃなくて、(こんなの死んだ英語なんだから!!)

そうじゃない「ナマの声」を教師が英語で伝えてあげて、

それに生徒が乗っかってくるような空間を、教室に作り出すんだ。

そういうことが出来れば、腕のある英語教師って事になるんだと思うよ。

だから言い続けるんだ。Do you follow me? って。

やがて、生徒にモノマネされるようになれば、教師冥利に尽きるというものだ。

……むかつくけど。

 

 

 

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